寒波が来ると北国だけではなくても心配になるのが水道の凍結ですね。
寒くて辛いうえに水道管が凍結してしまったら水もお湯も出なくてお風呂だって入れません。
水道が凍結しないように気をつけなくてはならない気温、水道管の凍結防止方法、水落し(水抜き)方法について考えてみましょう。
水道凍結する気温は?
当然のことながら水が氷になるのは0度ですから、気温がマイナスになってくると危険信号なのですが、それはテレビで発表される気温とかではなくて、凍りやすい場所のピンポイントの気温が重要となってきます。
つまり、あなたの家の水道管の位置や水回りの配管位置、更には日当たりや基礎構造、もちろん水の使用頻度などによっても差が出てきます。
天気予報ではプラス発表であっても、悪い条件が重なれば凍結してしまう場合だってあるし、逆にマイナス10度位でも凍結しない場合だってあるのです。
まずは北海道の住宅限定で考えます。
もちろん大前提としてそこで生活をしている事。
(凍結対策を取っていない場合、誰も住んでいない住宅の場合や、一週間以上も留守にする家の場合の冬はどんな住宅でもほぼ100%の確率で凍結すると思ってください。)
考え方は大きく2通りあります。
建物構造が鉄筋コンクリートであるか、木造であるかってところです。
普通に生活しているのなら鉄筋コンクリートの場合はほぼ凍結はしないと考えてよいでしょう。
もちろん築年数や配管構造にはよりますが、ここ十年位の建物であれば凍る事はないでしょう。
人が住んでいるのなら寒ければ暖房等を使うため部屋がマイナス気温になる事はないので、寝る前に水抜き作業をする必要はないでしょう。
賃貸物件の家賃も鉄筋コンクリートの建物の方が幾分高く設定されていますが、こういった理由もあるのです。
それに対しての木造ですが、これは何とも言い切れません。
この五年以内の木造賃貸住宅であれば、住んでいる間は(暖房を使うから)大丈夫でしょうが十年以上たっている建物であれば(暖房を消してしまう)寝る前には水抜きをした方が安全だといえるでしょう。
マイナス15度位を境に、マイナス20度を超えると一気に凍結件数は増えるので寒波到来などがあれば水抜きをして寝た方が安心です。
(これは北海道の断熱がしっかりしている住宅の場合です。断熱対策があまりされていない住宅の場合や、給湯機が外に設置されている場合は氷点下になる時点で凍結の可能性があります)
水道の凍結防止する方法
凍結の予防には主に3つの方法が考えられます。
まず一番簡単なのは、家の中の気温を水が凍結しない程度に保つ事です。
キッチンもトイレもお風呂場も、水回り全ての部屋を暖めておく事で凍結はしません。
北海道などの厳寒地ではかなりの確率で暖房はつけっぱなしです。
我が家もそうです。
もし出かける事があってもストーブはつけています。
危ないし勿体ないと思われる方も多いと思いますが、水道凍結の心配も含め、一度家が冷えてしまうと再び温めるのに時間がかかってしまうため、それよりもずっと暖房をつけている方が効率的なのです。
また水道のメーターボックスが地面にあるような所では、メーターボックスの中をタオルや保温材などで水道管を保温する事も効果的です(濡れないようにビニールの袋などに入れてから)
次に、水道管の中の水を常に流れた状態のままにしておくと水が凍りにくくなります。
水を出しっぱなしにする、ってことですね。
寝る前に少量の水を出しっぱなしにすることで凍結予防になります。
ポタポタ程度ではなく、細い線になるくらいです。
(気温によっては凍る場合もあります)
ただ水道代はその分かかるので出しすぎには気を付けて下さいね。
(ガスの安全装置が作動する場合がありますので、お湯は出しっぱなしにしてはいけません)
そして一番確実なのが水落し(水抜き)です。
そもそも、何故水道管は凍結するのかを考えると、単純に水があるからって事になります。
気温はコントロール出来ませんが、水道管の水はコントロール出来るように配管されているのです。
給水配管(水の元栓から各蛇口、バルブまで)と給湯配管(給湯器から各蛇口、バルブまで)の2種類の配管があって、それぞれ配管の中の水を空にする作業を水落し(水抜き)と言います。
水道凍結の恐れがある場合は水落し(水抜き)をしなければ配管の中で水が凍ってしまうんですね。
ここでの考え方も2通りです。
○給水配管
北海道では水道の元栓は不凍栓と呼ばれるバルブが使われます。
本体が凍結深度以上に埋設されており埋設部の給水管は発泡スチロールで保温されているため外気温の影響を受けないようになっています。
給水状態では常に配管の中は注水状態ですが、水落し(水抜き)にすると、水道本管からの水をストップするだけではなく、配管の中の水を全て地中の中に排出する仕組みになっているのです。
集合住宅などにはDバルブと呼ばれる青いバルブが設置される事も多いですが、仕組みは同じです。
本管からの水をストップして、それ以降の配管の中の水は排出されるのです。
液体は重力で移動するので、一番低い所に向かって行きます。
ですから配管屋さん達は不凍栓、もしくはDバルブが一番低くなるように配管しています。
不凍栓の排出部は凍結深度以上(地域によっては1.6メートルとか2.2メートルとか…)の地中ですので、いわゆる落とすと表現するわけです。
低い所に落とす。という意味です。
全てが不凍栓(元栓)に戻れば良いのですが、構造上100%そう設計する事は出来ません。
そのため、第二の方法で蛇口を一番低くなるように施工していきます。
イメージとして横に配管を布設する場合、ベストは不凍栓に向かって下り勾配の配管となりますが、それが出来ない場合は蛇口に向かって下り勾配にする事で配管内の水が全てなくなるようにするのです。
○給湯配管
考え方は同じですが、こちらには不凍栓がないので全て蛇口に向かって下り勾配の配管をします。
給湯器で作られたお湯が全て蛇口から流れ出るように配管しますが、配管構造上不可能な場合は、わざと思い切って低い場所を作ります。
配管内のお湯が絶対にそこに貯まるように低く配管しバルブを設置し、そのバルブを開けば給湯配管内のお湯が全て排水として流れ出るように配管するのです。
今は元栓を止めれば、配管内の圧力低下で自動的にそのバルブが開くものもあるので、バルブを開ける作業自体がない場合もあります。
以上の理屈を理解すれば配管は守られます。
ですが、給湯器、蛇口、洗浄便座、食器洗浄機など、各機器にそれぞれ水抜きが付いているので、これも忘れないでください。
意外に配管よりも機器の方がデリケートですから、簡単に破損してしまう危険度は高いです。
個人的には洗浄便座などは前座を外したりと面倒が多いので、オイルヒーターとか電気暖房とかをマイナスにならない程度に入れておく事をお勧めします。
水道管の水抜きのやり方とは?
それでは、水落し(水抜き)をやってみましょう。
準備として、給湯器のスイッチは切ってください。
まず、不凍栓(元栓)を閉めましょう。
メーカーやタイプの差はありますが、元栓を閉めるという表記の方へ回す、押す、下げる、上げる。という動作になります。
次に全ての蛇口を開けましょう。
ワンレバーの混合栓であれば中間位置で開けてください。
場所によっては、水やお湯がある程度出てくるので、洗面器やバケツで受けながら開けていきましょう。
元栓は水を排出するので、蛇口は空気を吸い込む音、(ゴボ、ゴボ)といっているはずです。
最後に機器や蛇口を一個ずつ見て回りましょう。
機器の水抜き栓は基本的には手で回せる物しか付いていませんが、コインとプライヤーくらいあれば安心です。
水抜きと書かれているものをありますし、蛇口(主に壁に付いているシャワーや台所の混合栓)には低い場所に栓があるはずです。
一回りしたら、それで完璧な水落し(水抜き)状態です。
大きな注意点ですが、水を出す時にはこの逆の作業をする事になるわけですから、外せるものは完全に外して目に付きやすい場所に置いておいてください。
そして再度使用する時は全て元に戻して下さい。
水を使おうと思っていきなり元栓を開けると、蛇口からはバンバン、各水抜きからはピューピューという状態になるのでご注意を!!
まとめ
水道が凍ってしまうと水が使えなくなり、炊事、トイレ、お風呂、洗濯などが出来ないばかりか、復旧の為に予想外の出費がかかってしまいます。
そして凍結してしまった場合、別な家庭でも凍結していることが多いため復旧までに時間がかかる事も予想されます。
水抜きについてまとめましたが、最悪なのは元栓を止めずに不在になり、その間に配管のパンクなどにより水が出っぱなしになる状態です。
最低でも元栓を止めておけば、大事には至らないし集合住宅の場合でも他人様にご迷惑をかける事にはなりません。
面倒だと思う時もあるでしょうが、転ばぬ先の杖だと思っていただければ幸いです。